今回は、経営者が知っておくべき 社会保険と国民健康保険の違い、そして2024年10月から始まる社会保険の適用拡大について解説します。
特に経営者や個人事業主の皆さんにとって、社会保険の制度変更は無関係ではありません。加入義務が拡大することで、企業負担や人材採用に影響が出る可能性もあるため、最新情報をしっかり把握しておきましょう。
社会保険と国民健康保険の違いとは?

社会保険とは
社会保険は、主に正社員や一定の条件を満たしたパート・アルバイトが加入する保険です。
- 対象: 正社員や週20時間以上働くパート・アルバイト
- 運営: 健康保険組合(大企業)または全国健康保険協会(中小企業)
- 保険内容: 健康保険、介護保険、厚生年金保険
国民健康保険とは
一方、国民健康保険は、個人事業主やフリーランス、年金受給者が加入する保険です。
- 対象: 個人事業主、フリーランス、年金受給者
- 運営: 各都道府県と市区町村
- 特徴: 保険料は自治体ごとに異なる
2024年10月からの社会保険適用拡大
改正ポイント
- 対象事業者: 従業員11人以上の企業
- 背景: 2022年には従業員101人以上の事業者が対象に拡大され、今回はさらに対象が広がります。
加入要件
以下の4条件をすべて満たす従業員が対象です。
- 週20時間以上勤務
- 月額給与8万8000円以上
- 2ヶ月を超えて働く見込みがある
- 学生ではない
この改正により、中小企業のパート・アルバイトも社会保険の加入義務が発生します。
社会保険加入のメリット
社会保険に加入することで、従業員は次のようなメリットを享受できます。
- 傷病手当金
病気やケガで休職した場合、給与の2/3が支給されます。 - 出産手当金
出産に伴う休業期間中の収入補填。 - 年金額の増加
厚生年金への加入により、将来の受給額が国民年金のみの場合より大幅に増えます。
手取り額への影響は?
社会保険加入後の手取り額シミュレーション
厚生労働省のデータによると、社会保険に加入することで手取り額が減少するケースもあります。
例: 月収9万1800円の場合
- 国民健康保険と国民年金の場合: 約7万6600円の手取り
- 社会保険加入後: 約8万円の手取り
- 配偶者の扶養内で働く場合: 約9万6900円の手取り
社会保険加入により、扶養内の働き方から外れることで、手取り額が下がるケースもある点に注意が必要です。
企業と従業員への影響
企業の負担増加
- 社会保険料は、従業員と企業が折半で負担します。
- 51人以上の事業者では、パート・アルバイトも対象になるため、企業のコスト負担が増えます。
採用面での影響
- 社会保険加入を希望する求職者が増加中。
- 「社会保険完備」は、優秀な人材を獲得するための重要な条件になる可能性があります。
経営者が知っておくべき対応策
専門家への相談を
制度改正により、社内規則の見直しや対応が求められる場合があります。特に以下のようなケースでは、社労士や税理士に相談することをお勧めします。
- 社会保険加入者の要件確認
- 資金繰りの再計画
- 就業規則の改定
まとめ
- 社会保険の適用拡大は今後も続く可能性が高い
経営者として、この流れを理解し、従業員や企業にとって最適な選択を検討することが重要です。 - 加入のメリットを伝えることがカギ
手取り額の減少などデメリットがある一方で、社会保険の手厚い保障を従業員に理解してもらいましょう。 - 採用競争に勝つための準備を
社会保険完備をアピールすることで、採用力を高めることができます。
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