「例年とは異なる令和6年の年末調整」 について、変更点や注意点を詳しく解説します。
年末調整は会社員や事業主にとって重要な手続きです。今年は 定額減税 が導入されるなど、新しい要素が加わっていますので、ぜひ最後までお読みください。
年末調整と確定申告の違いとは?

まず、年末調整と確定申告の違いを簡単におさらいしましょう。
年末調整
- 対象:会社員など給与所得者
- 手続き:会社が代理で行う
- 内容:毎月給与から天引きされている所得税(源泉徴収税)の過不足を精算する手続き
会社は毎月、所得税をやや多めに天引きしています。このため、年末に実際の年収が確定すると再計算が行われ、過剰に引かれていた分が還付されることが一般的です。
確定申告
- 対象:個人事業主、不動産所得者、年金受給者、副業所得者など
- 手続き:本人が自ら税務署に申告する
- 内容:医療費控除やふるさと納税など、年末調整で反映されない控除を含めた総合的な税額計算
令和6年の年末調整での主な変更点
令和6年の年末調整では、例年と異なる点が2つあります。
1. 定額減税の導入
今年は、所得税の定額減税が新たに適用されます。この制度では以下の金額が控除されます:
- 本人:所得税3万円減税
- 配偶者・扶養親族:1人あたり所得税3万円減税
この減税は給与明細や年末調整後に発行される源泉徴収票で確認できます。ただし、住民税に関する減税は年末調整ではなく市区町村で対応します。
注意点
- 定額減税が正しく適用されているか、必ず源泉徴収票で確認しましょう。
- 万が一反映されていない場合は、経理や総務担当者に確認するか、自ら税務署に相談してください。
2. 記入負担の軽減
「扶養控除等申告書(通称:マルフ)」に、前年からの変更がない場合、 「異動なし」 にチェックを入れるだけで済むようになりました。これにより、家族構成や個人番号などを毎年記入する手間が省けます。
注意点
変更がある場合(扶養親族の異動など)は、従来どおりすべて記入する必要があります。
年末調整のスケジュールと手続き
年末調整の一般的なスケジュールを以下にまとめます。
10月~11月
- 書類の配布:経理・総務から申告書が配布され、従業員が記入・提出します。
- 証明書の収集:生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書を集めます。
12月
- 年収の確定:1~12月の給与を集計します。
- 計算:天引きされていた所得税額を再計算し、定額減税を考慮した最終税額を確定します。
- 還付・徴収:過不足分を還付または徴収します。
1月
- 源泉徴収票の交付:従業員に配布し、内容を確認してもらいます。
- 法定調書の提出:税務署や市区町村に法定調書や給与支払報告書を提出します。
年末調整で使用する書類と記入のポイント
以下は、従業員が記入する代表的な書類です。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マルフ)
- 家族構成や扶養親族を申告する書類
- 異動がなければ「異動なし」にチェックで簡略化可能
- 保険料控除申告書
- 生命保険や地震保険の控除を申告
- 配偶者控除等申告書
- 配偶者がいる場合に提出
経営者・個人事業主への注意点
スタッフを雇用している経営者や個人事業主は、従業員の年末調整を正確に行う必要があります。以下を確認しましょう:
- 定額減税が正しく計算されているか
- 書類の不備や記入漏れがないか
- 源泉徴収票の発行と提出が滞りなく行われているか
まとめ:年末調整をスムーズに進めるために
令和6年の年末調整は、定額減税の導入や記入負担の軽減など、例年と異なるポイントがいくつかあります。スムーズに進めるために、以下の点を意識しましょう。
- 必要書類は早めに提出:経理や総務の負担軽減のため、期日を守る。
- 記入ミスを防ぐ:正確な情報を提供し、不備を防止。
- 定額減税を確認:自分やスタッフの分が正確に適用されているかチェック。
年末調整は、経理・総務担当者にとって繁忙期です。正確な記入と早めの対応でスムーズに進めましょう。
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